バイクを所有するすべてのライダーにとって、避けては通れない問題。
それが「盗難リスク」です。
自分の大切な愛車がある日突然消えてしまう、それはどんなバイク乗りにとっても他人事ではないでしょう。
バイク盗難は依然として多発しており、その多くが自宅や日常的に駐車する場所で起きます。
バイクが盗難されても、犯人が捕まる可能性は低く、もし犯人が見つかってもバイクが無事帰って来る事も珍しいのがバイク盗難です。
今回は、バイクの防犯に悩んでいる方や、これから盗難対策を始めようとしている方の参考になるように、私が行っている盗難対策についてまとめました。
目次
盗難は下見から始まっている

現在のバイクの駐車環境としては、賃貸物件に住んでおり、車を駐車する枠を借りて大型バイク「MT-09」を駐車しています。
補足すると、現在の住まいではバイク専用の駐車場が無かったので、車と同じ駐車枠を借りる事になりました。
この環境に引っ越したのは今年でしたが、引っ越して2ヵ月で盗難対策を強化する出来事がありました。

ある日、買い物から帰宅した際、駐車中のバイクに「バイク高価買取」のチラシが張られていました(見つけた瞬間気持ち悪くて破いた)。
ちなみにチラシに書かれている会社名や電話番号は実在しても、盗難犯がフェイクで載せているだけです。
この類のチラシは、バイクを盗難する下見の一環として知られている手口で、チラシが数日張られ続けている場合は、バイクの持ち主は普段はあまりバイクを気にかけないということでターゲットになりやすくなります。
このチラシを見つけた時は、まず勝手に私の所有物の一部に触られていたことで気持ち悪く思い、盗難のターゲットにされている可能性が上がったので恐怖心が出てきました。
バイク盗難は「他人事ではない」と改めて思い、盗難対策を一から見直す事にしました。
駐車環境の問題点

私の駐車環境は先ほど上げた通り、車用の駐車スペースの一角です。
最も大きな問題は、バイク駐輪場にならあるポールや手頃な柱が近くに無いので地球ロックができません。
地球ロックとはバイクのホイールまたはフレームを地面に固定された構造物とつなげる事で、単純に持ち上げては盗難させなくする方法です。
一方、賃貸物件の敷地形状が特殊で単純に道路に面している駐車場では無く、バイクを置いている場所をベランダから見る事が出来るし、寝室に居てても防犯アラーム音を聞き取れる距離感です。
実施しているバイク盗難対策一覧
バイクカバー「DAYTONA」

まず基本中の基本ですが、バイク全体を覆うバイクカバーを常時使用しています。
下見の段階で「車種を特定させない」だけでも、価値を見極められないため、ターゲットにされるリスクを下げる効果があります。
さらに私が使用しているバイクカバーは、前後ホイール部分にロックを通す穴があるので、一緒にロックを通すことで、下見時に簡単にめくられないようにしています。
バイクカバーは意味が無いのか?
バイクカバーをしていても盗難されたという意見はよく聞き、効果が無いような声もありますが、盗難犯はほぼ下見をします。
ほぼというのは、レアで高級なバイクの場合、他の場所で目をつけられている場合もあるのでそういった場合は意味がないでしょう。
ちなみにいろいろバイク盗難に対して調べていると、実行する盗難犯自身が初期の下見する事はあまりないらしく、下見だけするバイト的な存在がいるらしいです。
それらのバイトは直接犯罪に手を染めるわけではなく、普段は敷地内に出入りする職業の一般人が小遣い稼ぎ感覚で行っているようです。
下見対策としてのバイクカバー

なのでバイクカバーをかけてまず、車種を特定させないようにして、下見を失敗させることが重要だと考えます。
そして下見時には、大げさな工具を使ってロックを破る事は少ないので、バイクカバーをめくられないように、バイクカバー自体をロックする事が重要だと考えます。
私の場合、以下のように対策を組み合わせています。
- 前後ホイールと共にバイクカバーをロック
- バイクカバーを動かせばアラームが鳴る
- バイクカバーを動かせば感知センサーから通知が来る
このように下見の段階から対策できる、バイクカバーは盗難対策の第一歩であり、他の対策との組み合わせによって効果が発揮されます。
ディスクロック「ABUS」

前輪にABUSのディスクロックを2個装着し、後輪にもノーブランドのディスクロックを1個装着しています。
これらのロックはいずれも、装着したままではホイールが回らず、異常な振動を検知すると、アラーム音が鳴り響きます。
前輪だけではなく後輪含めてロック

後輪もロックするのがポイントで、多くの人が前輪だけロックをかけがちですが、後輪にもロックをかける事が非常に重要です。
バイクは軽いので、前輪だけロックしていても、前側を持ち上げられて移動させることが可能です。
例えば、私が見た実際の防犯カメラの映像では、盗難犯1人で前側だけ持ち上げて移動させていました、100㎏前後の軽いバイクなら1人で工具も無しに運んで行くでしょう。
たとえ200㎏を超えるバイクでも、前輪を台車に載せれば盗難犯2人いれば運ばれてしまいます、なので前輪だけではなく、手間をかけさせるために後輪もロックする事が重要です。
複数犯では持ち上げられる
「結局、複数人で持ち上げられたら意味がないのでは?」という意見も多いでしょう。
確かに、バイクは200kg程度なので盗難犯4人いれば、前後輪ロックされていても運ばれます。
しかし、盗難対策で最も重要なのは手間をかけさせることで、盗むのにより人数が必要なバイクであるほどターゲットから外れます。
アラーム付きディスクロックは必須
ディスクロックを使うのなら、絶対にアラームが鳴るものにしましょう。
理由は盗難対策だけではなく、普段使いの安全面でもメリットがあります。
ディスクロックの欠点として、ロックした事を忘れてしまいバイクを動かして、車体を傷つけてしまうことがあります。
アラームが鳴るタイプだと、そういった事が起きる前に気づくので、警告音が鳴るものにしましょう。
ストローンガーチェーン「DAYTONA」&コンクリートブロック

私の駐車環境では地球ロック(地面に固定された構造物へのロック)ができないため、代替手段として、10kgのコンクリートブロックを3個使用し、そこにデイトナの12mmのストロンガーチェーンを通してバイクと繋いでいます。
さらにチェーンはバイクカバーにも通す事で、カバーをめくれないようにもしてます。
地球ロックじゃなくても無意味ではない
もちろんコンクリートブロックは固定されてないため、地球ロックほどの効果は得られません。
しかし、重要なのは盗難犯に手間をかけさせ「いつもの方法では持ち上げられない」と思わせて抑止力を高める事です。
200㎏近いバイクを持ち上げていく、盗難犯に対して、コンクリートブロックが重いと言えど焼け石に水じゃないかとも思われるかもしれませんが私は意味があると思います。
実際やってみると、アンバランスに繋げられたコンクリートブロックは想像以上に持ち上げにくく、バイクに対して軽いとはいえ、10㎏x3は簡単に持ち上げれる重さではありません。
コスト安の疑似地球ロック
コンクリートブロックは地球ロックを出来ない環境では最適解だと思います。
この方法の利点は、コストが安く、手軽に導入する点です。
コンクリートブロックはどのこのホームセンターでも1個200円ぐらいで手に入り、設置に手間もかからないので、誰でもすぐにできます。
チェーン太さ10mm以上がオススメ
チェーンを切られた意味ないという意見については、それは地球ロックでも同じことです。
チェーンは太さが10mm未満の物だと、数千円で手に入るボルトクリッパーで簡単に切断されるので、10㎜以上にしましょう。
10㎜以上でも本職が使う油圧カッターであれば切断される可能性がありますが、時間は稼ぐ事ができるので、私はデイトナの12㎜のチェーンにしました。
なお、20㎜以上のチェーンなら油圧カッターとはいえ切断幅以上になるので刃が入らず難しいようですが、そのレベルの太さのチェーンは扱いにくく価格も高い為、私は採用しませんでした。
地球ロックができない環境でも、諦める必要はありません。
バイク単体では持ち上げにくく作業しにくい状況を作ることが重要です。
プレートロック「ABUS」+アラームロック「KOMINE」

後輪にはABUSの折り畳み式プレートロックを使用し、バイクカバーの上から通してロックしています。
前述した通り、バイクカバーをめくらせない下見をさせないことが重要なので、後輪からもめくられないようにしています。
アラームロックを連結し触れたら音
さらにバイクカバーの調整用の紐と、プレートロックに重ねて、KOMINEのアラームロックを通しています。
こうしておくとバイクカバーをめくろうとしても音が鳴るし、プレートロックを壊そうとしても音が鳴るので盗難へ効果が上がると考えました。
複数種類のロックには意味がある
私はこれまで紹介したように、多種多様なロックを併用しています。
ディスクロック、チェーンロック、プレートロック、アラームロックまで、いくつも導入しています。
この理由は単純で、どんなロックに必ず弱点があるからです。
1種類のロックに頼れば、その特定の弱点だけ攻められて破壊されるリスクがあります。
しかし、種類の異なるロックを併用することで、切断工具が1種類では足り無くし手間をかけさせ、作業工程を複雑にし、犯行にかかる時間を増やすことができます。
感知センサー「エジソンスマート」

ロックからアラーム音が鳴るものを使用していますが、これらの音は雨の日等外部環境によっては聞こえにくいかもしれません。
また、自室からアラーム音が聞こえると言えど、大きな音でハッキリ聞こえるレベルではないので、深い眠りに入っていたら気づかない可能性もあります。
そこで、バイクに異常があった際に確実に気づける仕組みを考えました。
ドア開閉用センサーを活用する
使い方はシンプルで、バイクカバーとバイク本体に感知センサーを取り付けて、カバーがズレると異常があったとして自宅でも外出先でもわかるようにしました。
この方法の弱点は、wifi環境が必要な点です。
ただ、幸いにも自宅からのwifi電波がバイクを駐車している場所まで届きました。
普段のルーター位置ではアンテナが弱い2本しか立たず不安定でしたが、中継器をベランダに設置したことで、強い2本~3本になり安定して通信できるようになりました。
マグネットプレートの活用もオススメ

感知センサーの仕組みは単純で本体に対して磁力が発生したかで感知する仕組みです。
私は付属の磁力パーツより、マグネットプレートを別途購入して貼り付けた方が感知させやすかったのでそれをバイク側に貼り付けています。
wifi通信可能なエジソンスマート製がおすすめ
一点注意してほしいのは、類似商品は数多くありますが例えばSwitchBot製のように通知機能を使うには別売りのハブ端末が必要なタイプもあることです(※しかもハブの接続は距離が短いBluetoothで常時コンセント電源が必要)。
それに対して、エジソンスマート製のセンサーは単体でwifi通信が可能で、充電する手間も無い乾電池で動くので設置が簡単です。
専用スピーカーも連携させる
実際に検証した結果、センサー状況はアプリに反映されているものの、プッシュ通知は来るとき来ない時があり不安定な面がありました。
その一方で、エジソンスマート専用のスピーカーと連携させて大音量でアラーム音を鳴らす方は安定して動作します。
そのためプッシュ通知だけに頼らず、スピーカーと併用するのがおすすめです。
マンションではwifiの電波が届きづらいでしょうが、アパートや戸建ての人ならwifi範囲内の可能性があります。
もし普段使いのwifiでは届かない場合でも、中継器を経由させれば範囲が広がるので届く場合があるので、駐車場にスマホでwifiが届いてるか確認してから試してみてください。
トラッカー位置追跡「KNOG」
バイクが万が一盗難された際に備えて、位置情報をリアルタイムで追跡できるようにしています。

Appleの「探す」を利用した位置情報共有で、私のiPhon端末から一定程度離れると通知が来て、位置情報を確認できます。
しかしタグ型の特性上、近くにApple端末が無い場合追跡精度が落ち、リアルタイム性に欠けます。
これ以外にもシンプルな純正の「探す」アプリで使うタグを4個仕込んでいます・
ただこの類のトラッカーはタグ型だろうが、精度がより高いGPS型だろうが、接続用にBluetoothを飛ばしているので、それを探知されればどこに仕込んでいるのかわかります。
バイクのどこかに仕込んでるとかではなく、誤差10cm以内ぐらいで、例えばヘッドライト付近に仕込んでるとか、リアテール付近に仕込んでるとか、そのレベルでどこにあるかわかります。

GPS型で精度あげるのもいいんですけど、GPS型は大きくて難しい所に仕込めません。
そのため、自分としては分かっても簡単に外せない場所に、そして大量に小型のタグを仕込むようにしました。
盗難保険に加入

これまで様々な盗難対策をしてきましたが、それでも盗まれるときは盗まれます。
その時に備えて盗難保険「SBI:みんなのバイク保険」にも加入しました。
実際の盗難保険内容
バイク納車時の車両代(車両+パーツ類)保険で、私のMT-09の場合「98万円に対して」1年で保険金額は16,562円でした。
例として仮で他の金額で見積もりしてみましたが、200万のバイクなら約3.5万、300万なら約5万ぐらいの保険金額になるようです。
もちろん金銭的保補償がされても、愛したバイクが盗まれた傷は癒えません。
特に、限定車や流通量の少ないバイクの場合、同じ車種にもう一度乗る事すら難しい事もあるでしょう。
ロック or 保険ではなく両方
盗難対策は、やればやるほどコストがかさみ自分自身も手間がかかります。
強固な地球ロックをしようとすると、チェーンだけで10万円かかることもあります。
そのため、ある程度のロックを複数組み合わせ、保険で万が一の金銭的喪失をカバーするというバランスが大切だと考えます。
催涙スプレーにより撃退

これは異色かもしれませんが、私は「盗難犯と対峙した場合」を考えました。
住んでる部屋からアラーム音は聞こえるし、異常があればスマホに知らせが来るので、その時駆け付ける可能性があります。
私のこれまでのロック手段を理解して、盗みに来る盗難犯だとすると4人以上のそれなりの経験がある人間が来ると想像します。
最初は手に持つ武器的なものを考えましたが、辿り着いたのが催涙スプレーです。
簡単に使える催涙スプレー
- 操作が簡単で、練習なしでもすぐに使える
- 標的に近づかずに、遠距離から効果を見込める
- 噴射範囲が広く、複数人相手でも同時に効果が期待できる
- 相手に致死性の傷を負わせること無く、行動不能にできる
- 「武器」ではないため、正当防衛の観点でもリスクが低い
以上の事に加えて、もしもの時に素手で行くのと、催涙スプレーを所持しているのでは安心感が全く違います。
最後に
盗難対策の基本は、「いかに犯人に手間をかけさせるか」に尽きます。
まずは下見の段階で狙われにくくすること。
そして、もし下見をされたとしても、「このバイクは厄介そうだ」と思わせることができれば、ターゲットから外れる可能性が高くなります。
万が一犯行に及ばれたとしても、すぐに異常を察知できれば、警察への通報や、現場へ駆けつける事で、被害を最小限に抑えられるかもしれません。
盗難対策は「これをすれば絶対安心」という正解がないぶん悩ましいですが、できることから少しずつ工夫して、バイクを守っていきましょう。